映画『哀れなるものたち』見て思ったのは(映画の主題はそこにはないが)自発的な、主体的なセックスワーカー像って男にとって都合良すぎるなということ。そりゃ本当に性行為が好きで得意で金を稼ぐのに是非ともその道でやっていきたいっていう人が、好きな客だけ取り、嫌になったらいつでもやめられる状態でやっていけるなら結構だと思うが、そういう理想像の設定をするなら、それは故意に現実の貧困と搾取を無視しているという指摘は受ける準備ができてないとだめだろう。売春させる側と買う者とが、自分は抑圧されているのではないと思いたい女に押し付けるには極めて都合の良いイメージだ。映画で再生産しなくてもそんな押しつけは氾濫している。