老舎『#駱駝祥子 』みんなで朗読していていつも面白いのだけど、毎回不穏なんだよなーシャンツが良い奴なだけに。どんな苦難がふりかかって悲惨な末路に至るのか、気になって読み進みにくい。でも声に出して読むということは読むことに強制的に時間を伴わせるということであって、どうしてもシャンツに運命の時が訪れるまで読むのをやめることはできず否応なく物語が進行していくということなのだった。
#駱駝祥子 往時の北平の町の風景と人情の描写だけでもすでに名作の資格じゅうぶんだが、単純で健康で有為の若者が、自前の俥を買うという夢を追いかけるうちに罠にはまる人生行路を描くビルドゥングスロマーンでもある。ドイツ文学の伝統と実績ある Bildungsroman 「教養小説」なら、無知で無垢だった主人公が恋を知り挫折を知り、努力しながら師や友と出会って成長していき…と先行き明るいが、近代中国のビルドゥングスロマーンに光はあるのか…?